石川県事業承継円滑化補助金とは?
事業承継を考えているものの、専門家への相談費用が負担になっていませんか。石川県事業承継円滑化補助金は、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)のいずれの形態でも、専門家活用にかかる経費の一部を石川県産業創出支援機構(ISICO)が助成する制度です。対象者・補助上限額・補助率・申請の流れを行政書士がわかりやすく解説します。
最終更新日: 2026.07.28|監修: 行政書士法人クロノス(代表社員 黒川光智)
どんな補助金?(制度の概要)
事業承継円滑化補助金は、石川県内に蓄積された優れた技術やノウハウなどの経営資源を次世代に引き継ぎ、安定的な雇用を確保するため、県内中小企業が事業承継を進める際に専門家へ依頼する経費の一部を石川県が助成する制度です。実施主体は石川県商工労働部経営支援課で、申請の受付や審査は公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)コンサルティング事業部 経営支援課が担っています。親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A)のいずれの形態も対象になり得ます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 令和8年度事業承継円滑化補助金 |
| 実施機関 | 石川県(申請窓口:公益財団法人石川県産業創出支援機構=ISICO) |
| 補助対象 | 親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)に伴う専門家活用経費 |
| 補助上限額 | 50万円(千円未満切り捨て) |
| 補助率 | 2/3(小規模事業者)、1/2(中小企業) |
| 申請受付期間 | 2026年5月13日(水)~2027年2月1日(月)(予算の上限に達し次第終了) |
承継の形態
公募要領では、補助対象となる事業承継の形態を次のように整理しています。いずれの形態でも、承継者が代表権や議決権の過半数を取得する、あるいは事業そのものを譲り受けることが前提です。
| 形態 | 被承継者(売り手) | 承継者(買い手) |
|---|---|---|
| 法人における代表者交代(退任・就任) | 法人 | 後継者(後継者が代表権と議決権の過半数を取得すること) |
| 法人から別法人への株式譲渡 | 法人 | 被承継者と別法人(承継する法人が議決権の過半数を取得すること) |
| 個人事業主から法人への事業譲渡 | 個人事業主 | 事業を譲り受けた法人 |
| 個人事業主から個人事業主への事業譲渡 | 個人事業主 | 被承継者と別の個人事業主 |
| 法人から事業譲渡を受けて個人事業を開業 | 法人 | 個人事業主 |
休眠会社や事業の実態がない状態の会社によるM&A等で、設備・従業員・顧客等の経営資源の譲受・譲渡の事実が確認できない場合は、補助対象事業の要件を満たさないと事務局が判断することがあります。
補助上限額・補助率
補助上限額は50万円(千円未満切り捨て)です。補助率は、小規模事業者は2/3、中小企業は1/2です。中小企業者・小規模事業者の範囲は、業種ごとに次のとおり定められています。
| 区分 | 業種 | 従業員数等の目安 |
|---|---|---|
| 中小企業者 | 製造業・その他の業種 | 資本金3億円以下または従業員300人以下(会社及び個人) |
| 中小企業者 | 卸売業 | 資本金1億円以下または従業員100人以下(会社及び個人) |
| 中小企業者 | 小売業 | 資本金5千万円以下または従業員50人以下(会社及び個人) |
| 中小企業者 | サービス業 | 資本金5千万円以下または従業員100人以下(会社及び個人) |
| 小規模事業者 | 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く。卸売業・小売業を含む) | 従業員5人以下 |
| 小規模事業者 | サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 従業員20人以下 |
| 小規模事業者 | 製造業その他業種 | 従業員20人以下 |
| 区分 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 小規模事業者 | 2/3 | 50万円(千円未満切り捨て) |
| 中小企業 | 1/2 | 50万円(千円未満切り捨て) |
※補助上限・補助率・対象経費は公募回により変わります。申請前に最新の公募要領(各実施機関の公式情報)を必ずご確認ください。(本ページ最終確認: 2026-07)
対象となる事業者・要件
次の要件をすべて満たす事業者が対象です。
- •譲渡側が石川県内に本社または主たる事業所を有する中小企業者(小規模事業者を含む)及びその支配株主(大企業を除く)、または対象会社の議決権の過半数を有する株主の代表者であること
- •譲受側が県内中小企業の当該事業を引き継ぐ者(創業予定者、法人、個人事業主、親族、従業員等)であり、引き続き県内で事業を営むこと
- •申請者に石川県税の未納がないこと
- •補助対象者が事業承継を目的として、2026年4月1日以降に専門家へ依頼した業務を完了すること
- •2026年4月1日から2027年3月1日までの間に事業承継を完了すること
- −発行済株式等の一定割合以上を大企業が所有している、または大企業の役員・職員が役員の過半数を占めているなど「みなし大企業」に該当する場合
- −風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する風俗営業や性風俗関連特殊営業を営む者
- −役員等が暴力団員に該当する場合、または暴力団・暴力団員が経営に実質的に関与していると認められる場合など、公募要領に定める反社会的勢力に関する事由に該当する場合
- −社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、各種組合(農業協同組合・生活協同組合・中小企業等協同組合法に基づく組合等)
補助対象経費
補助対象経費は、使用目的が補助事業の遂行に必要なものと明確に特定できること、補助対象期間中に発注等を開始し納品・支払いまで完了していること、振込受領書等の証拠書類によって支払金額が確認できることの3条件をすべて満たす経費です。承継の形態により対象経費が一部異なります。
- •【親族内承継・従業員承継】代表者変更等に伴う登記委託費用、課題分析の委託料、事業承継計画の策定委託料、譲渡契約書作成費用、株式等の相続税・贈与税の申告書類作成費用、定款変更等の登記費用、動産・不動産の登記に係る書類作成費用、不動産鑑定費用、許認可等の申請に係る費用等
- •【第三者承継(M&A)】上記に加えて初期診断委託料、企業価値の算出委託料、マッチングの登録手数料、FA・M&A仲介にかかるアドバイザリー契約の仲介手数料(着手金・中間報酬・成功報酬)等(中間報酬・成功報酬は、専門家との契約や交渉相手との基本合意書・最終契約書の締結時期など一定の要件を満たす場合に限り対象となります)
- −経営資源の引継ぎを伴わない単なる不動産売買に係る費用
- −同一の補助対象経費について、国が交付する補助金等の交付を受けている、または受ける予定がある場合の当該経費
- −経営資源引継ぎに伴う債務整理(法的整理・私的整理を含む)の手続に係る費用
- −専門事業者に対する顧問料等、個別具体的な案件に関する訴訟・トラブル対応に係る費用
- −消費税・地方消費税・登録免許税、交通費、宿泊費
- −送料・交付手数料・証紙代・印紙代など、専門家の業務に対する費用以外のもの
- −相続税・贈与税の申告書類作成のうち株式や事業資産以外の個人資産に係る費用など、事業承継に関連しない費用
- −本補助金の申請書類作成・提出等、応募自体にかかる専門家活用経費
スケジュール
令和8年度公募要領(1.0版)に基づくスケジュールです。予算の上限に達し次第、受付期間内であっても終了します。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 補助対象期間 | 2026年4月1日(水)~2027年3月1日(月) |
| 申請受付期間 | 2026年5月13日(水)~2027年2月1日(月)(予算の上限に達し次第終了) |
| 審査結果の通知 | 審査終了後、文書により各申請者へ通知(交付決定または不交付決定) |
| 実績報告書の提出期限 | 補助事業完了日または交付決定通知日のいずれか遅い日から1か月以内。最終締切は2027年3月1日(月)17時必着 |
申請の流れ
支援機関からの確認書取得
交付申請の前に、石川県事業承継・引継ぎ支援センターまたは県内商工会・商工会議所から、支援機関確認書(第3号様式)の発行を受けます。
交付申請書類の作成・提出
交付申請用チェックリスト、交付申請書(第1号様式)、事業計画書(第2号様式1~7)、支援機関からの確認書(第3号様式)、誓約書(第4号様式)、履歴事項全部証明書または住民票抄本、直近の決算書または確定申告書の写し、補助対象経費の根拠が分かる見積書等を、原則電子メール(郵送も可)でISICOに提出します。
審査・交付決定(採択)通知
ISICOによる審査を経て、補助金の交付または不交付が文書で通知されます。予算の範囲内での交付となるため、希望額の全額に応じられない場合があります。
事業の実施(専門家活用・事業承継の完了)
交付決定後、補助対象期間(2026年4月1日~2027年3月1日)内に専門家への依頼業務を完了し、事業承継そのものも期間内に完了させます。
実績報告書の提出
補助事業完了日または交付決定通知日のいずれか遅い日から1か月以内に、実績報告書(第7号様式等)、契約書・請求書・振込受領書等の証拠書類、事業承継が完了したことを示す証明書類(履歴事項全部証明書、株式譲渡契約書等)を提出します。最終締切は2027年3月1日17時必着で、期限を超えた場合は補助事業を辞退したものとみなされます。
補助金額の確定
事務局が提出書類を検査し(必要に応じて現地調査等)、補助事業の成果が交付決定の内容に適合すると認めたときに、交付すべき補助金額を確定し通知します。
請求・補助金の交付
確定通知を受けたら、精算払請求書(第8号様式)と振込口座の通帳の写しを提出し、補助金の交付(振込)を受けます。
申請前に押さえたいポイント
支援機関確認書は交付申請の前に必要
交付申請には、石川県事業承継・引継ぎ支援センターまたは県内商工会・商工会議所が発行する支援機関確認書(第3号様式)が必須です。取得には一定の日数がかかる場合があるため、早めの相談をおすすめします。
経費の支払いは原則銀行振込
補助対象経費の支払いは、申請者と支出先の間の資金移動を確認できる銀行振込が原則です。現金・電子マネー・手形や小切手での支払いは対象外とされています。やむを得ずクレジットカード等での支払いになる場合は、事前に事務局への相談が必要です。
M&A仲介費用の中間報酬・成功報酬は契約時期に注意
第三者承継(M&A)でFA・仲介業者に支払う中間報酬・成功報酬は、専門家との委託契約や交渉相手との基本合意書・最終契約書の締結が補助対象期間内かどうかによって、補助対象になるかどうかが変わります。契約前にISICOへの確認をおすすめします。
休眠会社等によるM&Aは対象外となる場合がある
休眠会社や事業の実態がない状態の会社を対象とするM&A等で、設備・従業員・顧客等の経営資源の譲受・譲渡の事実が確認できない場合は、補助対象事業の要件を満たさないと事務局が判断することがあります。
注意点
- •補助対象となるのは、2026年4月1日以降に専門家へ依頼した業務であり、かつ2026年4月1日から2027年3月1日までの間に事業承継を完了する事業です。
- •交付決定を受けても、実績報告書の提出とその内容の適合確認を経て初めて補助金額が確定します。交付決定は補助金交付の確定を意味しません。
- •実績報告書等の提出が期限(原則1か月以内、最終締切2027年3月1日17時必着)を超えた場合は、補助事業を辞退したものとみなされます。
- •予算の範囲内で交付する補助金のため、採択された場合でも希望額の全額に応じられないことがあります。
- •審査の経過や内容に関する問い合わせには応じられないとされています。
- •本記事は令和8年度事業承継円滑化補助金公募要領(1.0版)、石川県公式サイトおよびISICO公式サイト(2026年7月確認時点で公開されていたもの)に基づきます。制度内容は変更される可能性があるため、申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。
よくある質問
Q石川県が直接補助金を交付するのですか。
石川県が実施する制度ですが、申請の受付や審査、交付事務は公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)コンサルティング事業部 経営支援課が行っています。申請書類の提出先もISICOです。
Q個人事業主でも申請できますか。
はい。譲渡側・譲受側とも、法人だけでなく個人事業主も対象に含まれます。公募要領では、個人事業主から法人への事業譲渡、個人事業主同士の事業譲渡、法人から事業譲渡を受けて個人事業を開業するケースなど、複数の承継形態が想定されています。
Q支援機関確認書はどこで発行してもらえますか。
石川県事業承継・引継ぎ支援センター、または県内の商工会・商工会議所で発行を受けられます。交付申請の前に取得しておく必要があるため、早めの相談をおすすめします。
QM&A仲介手数料の成功報酬は必ず対象になりますか。
対象になるかどうかは、専門家との委託契約や交渉相手との基本合意書・最終契約書の締結時期によって異なります。公募要領では、専門家契約・最終契約・成功報酬の支払いがいずれも補助事業期間内である場合、または専門家契約のみ期間開始前で最終契約と支払いが期間内である場合に対象となるとされています。契約前にISICOへの確認をおすすめします。
Q他の補助金と併用できますか。
同一の補助対象経費について、国が交付する補助金等の交付を受けている場合、または受ける予定がある場合は、本補助金の対象外とされています。他制度との重複の可否は、事前にISICOにご確認ください。
Q採択率はどのくらいですか。
本記事執筆時点で確認できた公式情報の中に、令和8年度公募の採択率は明示されていません。審査の経過や内容についての個別の問い合わせには応じられないとされているため、最新の公表情報がないか公式サイトでご確認ください。
Q自分で申請できますか。行政書士に依頼するメリットは何ですか。
申請書類はご自身で作成・提出することも可能です。もっとも、支援機関確認書の取得と交付申請という段階的な手続きに加え、事業計画書の記載内容や補助対象経費の按分根拠の整理など、専門的な準備が必要になる場面があります。行政書士に依頼することで、手続きの抜け漏れを防ぎ、円滑な申請につなげられる点がメリットと考えられます。
公式情報(一次情報)
本記事は上記の公式情報をもとに作成しています。申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認ください。